木島様の物件は、完成を間近に控えている。何もなかったただ広いだけの空間が嘘のように、温かみのある素敵な部屋になっている。

 慎と瑛斗も太鼓判を押すほどの出来だ。

 内覧をした木島夫妻も、図面では見ていたが実際に見て感動していた。

 慎から話を聞いていた瑛斗の祖父が、引き渡し目前のマンションに訪れていた。

「ほう。噂以上だな」
「いいでしょう?」
「なんで慎が自慢気なんだ?」
「優ちゃんは、俺らの自慢の孫のような存在だ」
「慎がそこまで褒めるなんて珍しい」
「瑛斗も認めているぞ」
「じゃあ間違いないな。瑛斗は、俺の自慢の孫だからな」

 親バカならぬ、じじバカが二人……。

「最近の瑛斗は、一皮むけた気がするんだが……」
「それも優ちゃんの影響だろう」
「どういうことだ?」
「女に興味がないと思っていたが、どうやら優ちゃんと恋仲だな」