瑛斗に視線を向けると広い背中が見える。汗をかき少し作業着の色が変わっている。

「瑛斗」
「はい?」

 慎に呼ばれ振り返った瑛斗は、優の存在に気づき目を見開く。

「来てたのか……」
「はい。お疲れ様です」
「ああ……」
「ブハッ。なんだお前らのぎこちない関係は。ここは見合い会場か」
「慎さん!」
「なんだ?瑛斗が大きな声を出すなんて珍しい」

 慎と瑛斗の親子のような関係に優は微笑ましい気持ちになる。専務という立場上、きっと普段は気を張っているに違いない。現場の仕事が瑛斗にとっては癒しなのだろう……。

 本社で会ったスーツ姿のピリッとした雰囲気はなく、職人のプライドを感じる。

「で?内装は順調なのか?」
「はい。美里さん、あっ、奥様と打ち合わせして順調に進んでます」
「そうか」

 話を聞いた瑛斗も納得顔だ。