ある日の打ち合わせ――。

 この日は、壁紙の相談ということで、木島の奥様と優の二人での打ち合わせとなった。場所は、前回同様大橋建設の応接室を使用している。

 皆川が案内してくれたが、女性同士がいいだろうと席を外す。

「島田さん、優ちゃんって呼んでいいかしら?」
「はい」
「私のことも美里って呼んでね」
「じゃあ、美里さんで。お部屋全体の色合いのイメージって何かありますか?」
「そうね、お客様がいらっしゃることもあるから、リビングと客室は落ち着いた色合いがいいわ」
「壁紙のサンプルを見ていきましょう」
「ええ。って、こんなに種類があるの?」
「そうなんです。迷いますよね……」
「優ちゃんを信頼しているから、何パターンかに絞ってもらえない?」
「わかりました。じゃあ、何点か質問させて下さいね」

 優の人柄にすっかり魅了され絶大な信頼をよせる。