打ち合わせの後、数日で優からのプランが大橋建設に届けられた。

 今回、予算など費用面は考慮せず、最大限にお客様の要望を活かすプランを考える。

 普段は、いかに予算内で希望に添えるか頭を悩ませるが、費用を気にすることなく設備を選べる贅沢極まりない仕事だ。かと言って、奥様は高級志向ではなく、とにかく機能重視で優にとってもやりやすい相手だ。

「専務、島田さんからプランが上がって来ました」

 皆川自ら瑛斗の元に届けられる。実は皆川自身も楽しみなのだ。

「早いな」
「ですね」

 受け取った瑛斗は、部屋を出ていかない皆川を不思議に思う。
 
「まだ何か?」
「専務、私もご一緒させて下さい」
「へ!?」

 瑛斗が驚くのも無理はない。皆川が、自分の元に書類が回ってくる前に見たいなどと言ったことは、今までに一度もない。