優が引き受けた高級マンションの、購入者である木島商事の木島夫妻に実際に会う日がやって来た。

 大橋建設の本社の応接室が用意され、前回会うことのなかった専務も同席するらしい。

 都会の真ん中に建つ立派なオフィスビルに気後れしそうだ。

 吹き抜けになっているエントランスの先には受付があり、美しい女性が三人笑顔で迎えてくれている。

 優もさすがに、今日はスーツを着てきた。

「いらっしゃいませ」
「本日、13時から木島様の打ち合わせの件で来ました、住まいリィの島田です」
「島田様。皆川から聞いております。最上階の応接室になりますので、ご案内いたします」
「ありがとうございます」

 専務が直接取り扱う案件でやって来たのが若い女性であることに、受付の女性達は優に気づかれないように値踏みする。専務に女性の客が訪れる自体珍しいのだ。