「社長、大橋建設の大橋様から電話です」
「大橋建設?しかも大橋さんって……」
「あっ、本当だ。でも、声はお若いですよ」

 社長は戸惑いを見せながらも電話に出る。大橋建設の中古物件のリノベーションは、現在も進行中だが、大橋建設から連絡が入る意味が分からないのだ。

「お電話代わりました、住まいリィの山中です」
「私、大橋建設の大橋瑛斗と申します。本日は、仕事の依頼で連絡をさせていただきました」
「はあ……。どういった物件でしょうか?」
「弊社が港区に建設中の物件があるのですが、そこの内装に関する仕事です」
「それは、新築物件ですよね?」
「はい。新築の最上階の部屋なのですが、恥ずかしながら、お客様のご要望に合うプランが提案できていない実情がありまして」
「はあ……」

 社長には、何が言いたいのかまだ理解できていない。

「御社の島田さんにプランニングいただけないでしょうか?」
「へ!?」