何度か現場で優を見掛けるが、洗面所でのやり取りの後から、よそよそしく感じる。挨拶はするが目が合うことがない。

 普段からあまり感情を出すことがない瑛斗は、自分の態度が相手に誤解を与えたのだとは思うのだが、不器用なところはどうしようもない。

 怒らせるつもりは微塵もなく、どちらかと言えば親しくなるきっかけが欲しくて、本来なら自ら手伝うことはないが、思わず手が出ていたのだ。

 優が帰ってから慎に誂われたのは言うまでもない。

 女性の一挙手一投足が気になり、目で追ってしまうなんて、初めての経験だ。

 優の元へ行きたいが、自分の仕事も山積みだ。何とか時間を作りたいと必死に目の前の仕事に集中する。

 そこへ電話が鳴り響く――。