スイくんの部屋に着いて、荷物を置く。
物の少ない和室。すっきりしていて広く見える。
「布団用意しておくので、お風呂入って来てください」
押し入れのふすまを開けて布団を取り出し始めるスイくん。
は……! 今こそ、準備の使い時だ!
「す、スイくん!」
「はい?」
「パジャマ……わ、忘れちゃった!」
「あぁ、そうなんですか。じゃあ母さんに聞いてみま……」
「スイくんのを、貸してもらえない、かなっ!?」
「す、……え?」
布団がスイくんの手から滑り、畳の上に落ちる。
多少不自然って思われても、ここは突き通す……!
これは、スイくんに意識してもらうための準備だからっ。
決して私が着たいわけじゃないからっ。
「俺の?」
「うんっ、スイくんの服が、いいっ……」
「母さんのじゃ嫌ですか?」
「い、一番頼みやすいのがスイくんかなって!」
「……大きいと思いますけど」
「そ、それでいいのっ! お願いっ!」
手を合わせる。
なんでそこまで、って思われてもいい。むしろ思ってもらった方がいい。
「……。いいですよ」
「ほんとっ!?」
「大きいですから……上だけで十分ですよね」
「え?」
スイくんは真顔だった。
何を考えているのか、わからない。
でも、なんとなく。射抜くような瞳の中に、思惑が混ざっているのは感じ取れた。



