クールで一途な後輩くんと同居してみた



 今まで何度か繋いできて、そんな感想を抱いたことなんてないくせに。


 なんで急にそんなことを。



「なんで、って……す、スイくんが、言ったんだよっ。何か感じてほしいって」

「『なにしてるんだろう』から、変わったんですか」

「か、変わるに決まってるよ。だってスイくんは、もう……お父さんじゃ、ないんだし」

「え……?」



 つまり……えっと。


 どういうこと?



「……? …………?」



 ???


 脳が処理を拒んでいる。


 お父さんじゃないのは……そうだ。俺からも言ったことだ。


 じゃあ今は何? 後輩? それとも――



「スイくんっ、あのねっ、こんな簡単に手を繋いじゃ、ダメだよっ」

「はぁ……はぁ?」

「優しすぎるの、だめだよっ……」



 緋織先輩が顔を伏せる。


 俺の優しさは緋織先輩限定なんですが……。



「っ……、~~っ! これでっ、いっこめ!」



 呆然としている間に手を振りほどかれた。


 あ、死ぬ。


 俺の残機が一人減った。


 なのに人生が終わらないのは、髪の隙間から覗く緋織先輩の耳が赤く見えたから。


 好き、とまではいかないにしても。


 俺をフったということは、俺の気持ちを知っているということで。



 ――意識、されてる、とか?



 それを確認するための触れ合い申し込みだった?


 いやまさか……なぁ。


 うん……現実はいつも残酷だから、頭の中では都合の良いように考えとこ。