「~~っ!」



 痛い。お尻と背中がヒリヒリする。


 あまりの痛さに声も出ない。



「緋織先輩!? どうしたんですか!?」



 スイくんの焦った声が響いた。


 あぁ……かっこ悪いところ見られちゃう。


 ドタバタ足音が近付き、顔を上げたそこには、



「へっ……!?」

「大丈夫ですか!?」

「ぁえっ、だ、だいじょぶ……っ!」

「骨折してないですか? そうじゃなくてもひびとか」

「ゃ、私っ、骨、強い、からっ」



 心配してくれるのは嬉しいけど……っ!



「スイくんあのっ、ふ、服着ようっ!?」



 腰にタオルを一枚巻き付けただけのスイくんが、そこにいた。


 均一のとれた綺麗な体が私の視界を支配する。



「え? いやそれよりまずは緋織先輩が優先じゃ、」

「平気だって言ってるよっ! 服着てくれなきゃ怒るよっ!」

「……わかりました」



 脱衣場に戻っていくスイくん。


 必死になってくれたのは伝わるよ。でも私には刺激が強すぎるよっ……!


 一応体に異変がないか確認するけど、なんともない丈夫な自分に感謝だ。


 痛みも引いてきた頃にスイくんがやってきた。



「まだ痛みありますか? 病院行っておきます?」

「っ……!」



 もう服を着ているというのに、ついさっきまでの姿がフラッシュバックで重なる。


 せ、背中を流すってことは、ずっとあのスイくんを見てなきゃいけないの……!?


 む、無理だよっ……!