不誠実だ。とっても不誠実。


 私のしようとしていたことは、スイくんに好かれるような行為じゃなかった。



「で、でも、恋愛の好きってどうやって決めたらいいの?」



 スイくんを好きなことには変わりないんだよ。


 自分で恋って言い張っちゃえば、恋になれるもの?



「そうね……わたしは……」



 しぃちゃんはちらっと大ちゃんを見る。



「……考えてみたら恋したことなかったわ。
大吉はどう思う?」

「えっ、オレ?」



 しぃちゃんもしたことなかったの!?


 めちゃくちゃ百戦錬磨のモテ女だと思ってた……!


 ならしょうがない、大ちゃんに聞くしかないね。


 ……大ちゃんの恋愛話も聞いたことないけど。



「や、オレもよくわかってないけどさぁ……。一般的に言ったら、他のやつに取られたくないから付き合いたいって発想になるんじゃねぇの……?」

「じゃあ当てはまってるね? 恋、なんだ……? これ……?」



 全然しっくり来てないけど、これでいいんだ?



「恋じゃないなら……執着、って考え方もあるわよね」



 顎に手を当てながら呟くしぃちゃん。



「わたしもお気に入りのおもちゃは他の人に取られたくないもの。でも恋と決定的に違うところは……」

「違うところは……?」

「キスしたいと思わないわ」

「きっ……え!?」

「キスというか、性的な行為?」

「え、え!?」



 急に思いもよらない方向へ話が切り替わった。


 そういう話、あんまりしたことなくて耐性がないっ……!