嫌……では、ないね、全く。


 むしろすごーく嬉しいね。



「むしろすごーく嬉しいよ!」



 思ったことをそのまんま口に出す。


 ついでにグッとサムズアップも前に突き出した。


 おまけのウインクもしちゃおうかな!?


 完全な決め顔決めポーズ。歓迎の気持ちが伝わりまくるに違いなかった。



「あー……そうですか」



 代わり映えのしないクールな反応しか返って来なかったけど。


 うんうん。そうだよね、スイくんはこんな子だった。


 これは距離を縮めるのに時間が必要かもなぁとひっそり肩を落とす。


 ま、そんな簡単にはめげないけどねっ!



「俺も楽しみにして来たんで、よろしくお願いします」



 スタスタと私の前を通るスイくん。


 自分でドアノブに手をかけ、リビングに入っていった。


 バタン。ドアが閉まる。


 ……。……へ?


 オレモ……タノシミニ……?


 え!?



「きゃっ……きゃーっ! ほんとほんとほんとほんと!?」



 瞬時に追いかけてスイくんの顔を覗き込むと、ぐりんとそっぽを向かれた。



「……二度は言いません」

「えへ、えへへっ、わかった! 記憶に焼き付けておくねっ!」




 こうして、私とスイくん(とお母さん)の同居生活は始まった。


 やばいっ、ワクワクして今夜は眠れないよ!