「まぁ初日に深いとこまで手を出すつもりはありませんけど」



 その上、スイくんがすごく攻めてくる。


 まるで抑えていたものを解放するかのごとく。


 悪い気はしないんだけど、いちいちどぎまぎしちゃうんだよね……。



「二人ともー! 見て見て、デザートにかき氷作ったの! 食べるー?」



 スイくんのお母さんとお父さんが台所からやってきて、床にかき氷の乗ったお盆を置く。


 ちょうどそのとき花火が終わったので、次に火をつける前に夏の風物詩を味わうことにした。


 口の中がひんやりとして、気持ちも冷静になっていく。


 色仕掛けとか、あんなに頑張ってたんだし……今さら恥ずかしいことなんてないよねっ?



「あ、スイくん、舌青くなってるよ!」



 ほら、普通に話しかけられた。


 この調子で行けば……。



「緋織先輩は赤いです」

「イチゴシロップだからねっ」

「赤と青って混ざったら紫になるんですよね」

「? そうだね」

「俺達の舌を合わせてもそうなるんでしょうか」

「え、それ、は……」



 スイくんの舌に意識が集中する。


 ついでにキスの感触も蘇る。



「試してみます?」

「……た、ため、」



 すってことは、つまり、私とスイくんの舌を、絡ま、せ。



「っ!!」

「っはは、俺はいつでも歓迎ですよ?」

「スイくんって、スイくんてなんか、っ、!」



 顔を覗こうとしてくるスイくんにそっぽを向く。


 恋人のスイくんて、なんか全然、クールじゃない……っ!