驚いて思わず固まってしまった。


 スイくんは気まずそうに目をそらす。



「あ……いませんでしたか」



 それが落胆しているように見えたので、隠しても仕方ないと思って。



「い、いるよっ……できたのっ、最近!」

「……へえ」



 スイくんの目の色が変わった。


 突然肩を引き寄せられる。



「ひゃ、」

「どこの誰ですか?」

「っ……ん」



 耳元で声が反響して背中がゾクゾクした。


 低い声色だけど、怒ってる……とはちょっと違うかもしれない。


 なんか楽しそう?


 恋バナができて嬉しいのかな。


 そうは言っても私の好きな人は目の前にいるわけで。


 これだけ密着してしまえば、落ち着いていられるわけがない。



「~~っ、あっ、明日っ! 明日言おうと思ってるよっ!」



 結果、計画をあっさりとぶちまけてしまった。



「明日?」

「う、うんっ」

「じゃあ俺も明日言いますね」

「えっ……」



 そ、それはつまり、フラれ確定じゃ……。


 告白だけじゃなくて、諦めるための準備もしないといけなくなっちゃった。



「私から先に言わせてね……?」

「いいえ。俺から言います」

「なっ、や、やだっ……私からがいいっ」



 自分じゃない人の名前を出されてから告白するなんて気まずすぎるよ!


 スイくんはクスッと笑って私を腕に閉じ込める。


 完全に私達の隙間がなくなった。