スイくんと向かい合わせ。
なんで急にくっつけてくれたんだろう、とか。
疑問や期待の数々を鼓動が上書きしていく。
何を話したらいいかわからないな、なんてそわそわしていたら。
「……俺、」
スイくんが小さく口を開いた。
「十年くらい好きな人が同じなんです」
「じゅっ……じゅうねん!?」
衝撃。ショック。雷に撃たれたような感覚。
勝ち目がなさすぎるよ!
幼なじみとか、かなぁ!?
十年も一途に想い続けた人を心変わりさせるのは、かなり至難の業ではないだろうか。
それに、だってほら、学校まで追いかけて同じにしてるんだ。
相当好きじゃないとできないよ……。
時間は関係ない、とは思うけど。
勝ち負けで考えれば、スイくんの愛に私は負けている。
「ずっと好きで……好きで好きで、ずっと一緒にいたい相手なんです」
「そ、そっかぁ……」
心がゴリゴリと削られていく。
く、苦しい。
恋ってこんなに苦しいんだ。
「……あ、あの、さぁ。たぶん、私は知らない子だとは思うんだけど、誰なのか聞いてもいい……?」
今まで聞けなかった質問をここでしてみる。
もう当たって砕けろだ。
「知りたいですか?」
「知りたい……」
「――じゃあ、緋織先輩の好きな人も教えてくれますか?」
「……え」
あれ、私好きな人がいるってスイくんに言ってない。
自覚したのも最近なのに。



