――と思っていたのに、
「じゃあ帰れ。てめぇに用はねぇしな」
五十嵐先生はマリちゃんの色目に気づくことなく、しっしと追い払う仕草をした。
マリちゃんは私にキツイ目を向ける。まずい、これでは本末転倒だ。マリちゃんと五十嵐先生をいい感じにさせるはずだったのに意味がなくなってしまう。
私達を前に五十嵐先生が注文をした料理が机の上を埋め尽くす。今日も昨日と同じ店で個室だ。
そして、今日も五十嵐先生は美味しそうにビールを飲んでいた。
「ほ、ほら。うちの麻酔科医もそんなに多いわけではないですし、皆楽しく協力し合いましょうよ!」
マリちゃんのフォローに回ると、
「いつまでも大学気分じゃこっちが困るんだよ、なあ、梅田。おまえ、安達の言うことに反抗的な態度取ってるらしいじゃねぇか」
私の気遣いも意味がなく、五十嵐先生はマリちゃんの名を呼び説教を始めてしまった。



