ムカつく。俺のことは嫌いなくせに、五十嵐には心を開いている幸野が許せない。
「オーベンだから、好きになった?」
意地悪な質問をすると、
「な、なに言って――」
まんざらでもなさそうに顔を赤くした。
これ以上五十嵐のことを考えてほしくなくて、幸野の唇に俺の唇をそっと触れる。けれど、頭では考えてしまう。
五十嵐が幸野を本気で好きになったらどうしようって不安になる。
「――はぁ、どうだかな。俺の愚痴を言ったことが記憶にないんなら、五十嵐に言い寄られててもおかしくないよな?」
「い、言い寄られてなんか……」
「やっぱり五十嵐を好きなんだ?」
「だから、違……」
この晩俺は幸野の唇を覚えるように、夢中でキスを繰り返した。



