「おい、幸野、立て!」
幸野の隣に近寄って、立て!と肩をすくめると、「勘弁してくださいよー、私、五十嵐先生のキングベッドがいいんですー」フラフラになりながらも俺に体を預けてくれた。
介抱してくれる人間に向かって「勘弁してくれ」はないだろ。
その後席に戻ると岩本くんはぎょっとした目で俺に寄りかかる幸野を見ていた。
「えっ、久我先生その人ってさっき話していた麻酔科医の……!?」
「ああ、うん。申し訳ないんだけどコイツを送ってくからこれで」
自分の財布から万札を二枚取り出し岩本くんの手に握らせた。
「え!? いや、そんな……悪いです! というか多いです! 僕、そんなつもりじゃなくて」
「分かってるけど、ここは出させて。これは岩本くんのだから、余ったらタクシー代とか色々使ってね。あ、綿谷には自分の分は自分で出すように言うんだよ」
「あ、ありがとうございます……」
申し訳無さそうな顔をする岩本くんと連絡先を交換をして、レジで幸野達の席の分のお会計を支払った。



