「麻酔科っていったら、見たことない先生がいましたよね? あれ、誰です?」
岩本くんは既に五十嵐先生を目にしたのだろう。
「イケメンの、顔がカッコイイ、ザ・オトコって感じのー」と綿谷に説明している。綿谷はまだ五十嵐先生を見ていないのか首を傾げた。
「ザ男? 分かんねぇ、久我知ってる?」
綿谷と岩本くんの頼んでいたビール、俺も頼んだ烏龍茶が運ばれてきた。綿谷と岩本くんは良い飲みっぷりで喉を麗した。
「……本院から来た五十嵐先生。幸野を指導してるんだと」
「あんなかっこいい人がオーベンだったら麻酔科医の人も嬉しいでしょうね」
何気なく吐いた岩本くんの言葉に胸がずっしりと重くなった。そして負けじと、
「岩本くん、俺は? 俺、カッコイイ? オーベンだったら嬉しい?」
普段、人には絶対に聞かないようなことを聞くと岩本くんは顔を真っ赤にして「俺は久我先生がいいです! 久我先生が一番です!」と答えてくれた。
そんな俺達を見て綿谷はゲラゲラ笑っている。何なんだよ、まったく。
綿谷は「ヒッヒッヒ」と引き笑いをしながら、「まー、幸野にとっては久我がオーベンだったら発狂してるだろうな~」意味深なことを言ってきた。
「は? 俺がかっこいいから?」
「おまえ、どんだけ自分に自信あるんだよ。腹立つ奴だな。今日、昼休憩の時におまえのこと苦手って言ってたんだよ」
「誰が?」
「幸野が」
…………は? 何で? 俺、幸野に何かしたっけ。もしかして目で追ってたことがバレた?



