「うっわ! まーた、幸野先生、ゴリゴリの加工食品食べてるー!」
私の前に顔を出したのは男の医者、内科医の綿谷先生だ。
ドアを閉め中に入ってくるなり、あっちーねー、と、言いながら休憩室の奥に設置してあるウォーターサーバーへと手を伸ばしている。
紙コップホルダーから紙コップを一つ取り出し水を一気に飲み干した。そして、
「あのねー、そんな食生活じゃ医者失格だよ? インスタントラーメンは添加物盛沢さんだし、スープなんて発がん性物質を多く含んでるんだからね?」
いつものうんちくを語り出した。
この先生がこの時間に休憩室に来るって分かっていれば、インスタントラーメンなんて食べなかったのに。
「ああ、はい……それ、耳が腐るほど聞きました」
「アホか! ったく、日本人の死因第一位はがんなんだからね。後悔しても俺、しーらない」
綿谷先生は騒がしいが、ぐうの音も出ない正論をぶつけてくる。
幸せいっぱいに食べていた自分が急に憎たらしく思えてくる。