五十嵐先生が聞いてくれることを良いことに、普段久我先生から受けている仕打ちをどうにかやり返したくて、鞄の中からメモ帳とボールペンを取り出す。


 上手くはない久我先生の似顔絵を描いて、五十嵐先生へ「こんな感じです!」と、見せる。五十嵐先生は私が描いた似顔絵を見て大笑いをし始めた。


「ガハハハッ! おまえ、絵下手すぎて全然伝わらねぇ! ブッ、ハハハ!」

「はあ!? よく見てくださいよ! せめてこの目つきだけでも!」

「イッヒッヒ! 怪物かよ」


 ……私の絵が下手クソなあまりに、全然伝えることができなかった。ううっ、悔しい!


 今私にできることはお酒で気を紛らわせることだ。もう二杯分大ジョッキを注文し、一気飲みしないよう、アルコールを体内に摂取していく。


 ……さすがに飲まなきゃやってられない。


 どれくらい時間が経ったのかは分からないけれど私は、

「絶対、久我先生は浮気魔ですよ! 院内の看護師に色目かけてやりたい放題してるんですよー!」


 完全に酔っ払いに成り下がっていた。