「正直な話、結婚します、妊娠しましたで辞めるやつ多いんだよ。こちとら親身になって教えてんのに、そんな早く辞められたらどうしようもねぇだろ」


「……ま、まあ」

「それに二十六なんてオレからしたらまだまだこれからだ」

 「三十になって貰い手いなかったら、オレが貰ってやるよ」と、全然嬉しくもなんともない告白をされた。

「さっき小娘ってバカにしてきたのに!」

「悪かったって。じゃあ実際幸野の好みのタイプはどんなんだよ? やっぱ万人ウケ顔の久我か? アイツはかっこいいもんなー」


 いつのまにか私が久我先生を狙ってる提で話が進んでいく。


 五十嵐先生はカッコイイだけじゃなく、話が上手い。だから女に飢えていないのかもしれない。


「久我先生はカッコイイとは思いますけど、私のタイプじゃないんです! 目つきも悪いし」

「そうか?」


 『本院では久我は優しくてイケメンって言われてたけど、目つきねぇ?』と、どうやら目つきが悪い久我先生を想像しては、ハハハと腹を抱えて笑っている。