律くんの顔がこんなに近くに…



どきどきして倒れちゃいそうっ。



「言えないんだ?」



「う、うんっ、」




だんだん低くなる声。



「いこいの分際で反抗期?」




余裕そうな不適な笑み。




反抗期とかじゃない。言えるわけない。



律くんを…困らせるだけだもん。




何も言えないで俯いていると、



「まあ、いいや。」




綺麗な口が弧を描く。



黒く光る瞳。




ただでさえ近い顔が、さらに近づいてきて、律くんの黒い髪が、私の顔を掠める。



あまりの近さに息を止めて、目をぎゅっと瞑る。



チュッーーーー



おでこに一瞬触れた柔らかいマシュマロみたいな感触。



「っ、…、」



びっくりして目を開けるけど、何が起こったのかわからない。


今のって、何?



「俺を怒らすから悪いんだよ。覚悟しとけよ。」



怒りを含んだ熱い目で、そう言い放って屋上から出ていってしまった。



本気だってことはわかる…



本当に律くんを怒らせてしまったみたい。



どうしよう…