「先生」って呼ばせないで

「今、怜呼んだから。しばらくすれば迎えに来てくれると思う」


だからスマホ触ってたんだ。


なんだ。やっぱり優しいんだ、廉くん。


「帰るか帰らないかは一宮が決めればいい。でも俺は無理しない方がいいと思ってる。焦る必要はないよ」


真っ直ぐ目を見て言われ、心臓がドキリと跳ね上がる。


廉くんは、私の過去をどこまで知ってる…?


焦る必要はないって、トラウマ克服のこと?


私がされたこと、廉くんに知られてるのかな…。


「…誤解がないように言っとくけど、俺は詳しいことは何も知らない。テニスにトラウマがあるとしか聞いてないから」


「そっか。ならよかった」


廉くんには知られたくない。


あんな恥ずかしいこと…。


「…でも、助けたいとは思ってる。俺にできることがあれば何でもするから」


廉くん…。


冷たい人だと思ってたけど、やっぱり廉くんは廉くんだ。


優しくて温かい人。


私のピンチに駆けつけてくれるヒーロー。