「先生」って呼ばせないで

「私です。ごめんなさい…」


素直に手を挙げて名乗り出ると、廉くんは少しだけ表情を緩めてくれた。


「お、ちゃんと敬語使えるようになったじゃん。スマホは没収な。テスト終わったら職員室に取りにおいで」


廉くんが手を伸ばしながら近づいてくる。


「没収嫌だ」


「あっそう。じゃあ反省文でもいいけど?」


「…嫌」


「どうせテスト中は使えないんだから、没収だろうと関係ないだろ?」


背の高い廉くんが隣に立つと、威圧感を感じる。


廉くんが注目を集めるせいで、クラス中の視線がこっちに向いてるし…。


「わかったよ。厳しいんだね、伊吹先生」


「ルールはルールだから。あと敬語。ちゃんと使え」


持っていた日誌でペシッと頭を叩かれてしまった。


「痛っ!」


「痛くねーだろ。大袈裟だな」


全然表情変わらないなぁ…。


廉くんってこんな人だったっけ。


昔はもっと表情があった気がするんだけどな。