「先生」って呼ばせないで

一通り自己紹介が終わり、ホームルームも終わったら自由時間。


その自由時間に廉くんに話しかけようと思ったのに、たくさんの女子に囲まれていて話しかけられなかった。


そして、その日はそのまま目も合うことがなく終わってしまった。


廉くんはさっさと職員室に戻ってしまい、クラスの皆も次々に教室を出ていく。


1人取り残された教室はガランとしていて寂しい。


掲示物も何もない殺風景な教室。


廉くんはどんな教室を作るんだろう。


どんな授業をするんだろう。


きっと、女子にきゃあきゃあ言われながら授業するんだろうなぁ。


今日が既にそうだったもん。


「やっぱり廉くんはモテるんだろうな…」


昔から薄々分かってはいたけど。


もっと廉くんと話したいのにな…。


なかなかチャンスがないや。


今日のところは諦めて帰ろう。


誰もいない教室にいつまでもいたってしかたない。


私も帰ろうと思い、席を立つ。


「別にそんなモテないけど」


っ!?


突然ドアの方から聞こえてきた声に驚いて振り返ると、腕を組んでこちらを眺める廉くんが立っていた。


「お前、ひとり言デカすぎ」


昔と同じクシャッとした笑顔。


あまりの懐かしさに涙腺が刺激される。


「相変わらず泣き虫だな」


「泣いてないもん」


ただ泣きそうになってるだけ。


別に泣いてなんかないもん。