「先生」って呼ばせないで






―ペシッ


「ん…」


なに…


頭に平べったいものが当たった気がする。


「起きろ」


この声は…。


廉くん…!?


やばい、1時間目、数学だっけ!?


「大問1の(3)、一宮」


廉くんが冷淡な声で黒板を指差す。


どうやら“伊吹先生”の教科書で起こされたようだ。


しかも容赦なく1番難しい問題を当ててくる。


「最悪、そんなのわかんないよ」


「聞いてないから分からないんだろ。授業はちゃんと聞きなさい」


「…はーい…」


…完全なる“先生”。


しかも、怖い寄りの先生だ。


廉くんってこんな感じなんだなぁ…と思う少し悲しい。


「じゃあ(3)は近藤」


別の生徒を当てて教壇へ戻る。


近寄りがたい先生って感じがぷんぷんする。


さすがにまた寝るのは怖いから、伊吹先生を観察することに。


一挙手一投足がカッコよくて絵になるけど、表情は基本的に冷たい。


問題に正解しても淡々としてるし、雑談は一切してくれないし…。


私の頭の中の廉くんは、もっと明るい人だったんだけどなぁ。


人って変わっちゃうのかな…。