だからこの恋心は消すことにした。





「お前はバカだ」



俺はそれだけ言うと、ラナにそっとキスをした。
唇と唇が触れるだけの優しいキス。
ラナの顔を見ていたくて、ずっとラナを見ていたが、ラナはそれはそれはもう顔を真っ赤にして、驚いたように俺を見つめていた。

…可愛い。誰にも見せたくない顔だ。



「…ねぇ、もう一回」

「…」



小さくそう囁けば恥ずかしそうにラナが頷いて、瞳を閉じる。
俺からのキスを待つラナは何よりも愛らしく、俺の心臓をさらに加速させた。


お前の心は手に入らなくても、それ以外を全て手に入れられた。
こんなにも甘くて優しい生活がずっと続くなんて何て俺は幸せなのだろう。
そう俺は幸せなはずなのだ。

また軽くラナの唇に自身の唇を触れさせる。
それからもっと欲しくなってラナの唇を舐めた。



「口開けて、ラナ」

「…は、はい」



真っ赤になって返事をしたラナの口内へ舌を入れる。
ゆっくり、ゆっくりと、全てを味わい尽くすように、ラナの口内を俺の舌が動く。ラナはもうされるがままだ。



「…んっあ、は」



ラナから甘い吐息が漏れる。

たまに苦しそうに瞼を上げるラナの瞳は甘く、間違いなく、そこには恋心があった。
それに気づく度に俺の中の何が煽られた。
もっともっと欲しくなった。

夢中になってラナに貪りつく。
ラナを離そうなんて微塵も思えない。

だけどふとこんな時に頭の中にあることが過ぎるのだ。

ラナは俺を愛していない、と。

俺を愛おしげに見つめる瞳も、すぐに紅潮する頬も、甘い言葉さえも全部、俺を満足させる為の嘘。
俺を油断させる為の嘘。俺を絆していつかここから逃げる為の嘘。

全部、目の前にある全てが嘘なのだ。

そう思うと、苦しくなった。

ラナの全てを手に入れているはずなのに。
満たされない。乾いて乾いて仕方ない。


ーーーやっぱり同じがいい。