だからこの恋心は消すことにした。





ラナは何も変わらない。
ここに無理やり閉じ込められているはずなのに、俺に憎悪の気持ち一つ向けやしない。

離宮で過ごしていた時と変わらず…いや、その瞳には確かな恋心を宿して俺に接する。
だが、その甘い瞳はきっとここから逃れる為の賢い秘書官様の策略なのだろう。
変わらない様子も、明るい姿も、きっとそう。
俺を油断させたいのだ。



「お前って本当すごいね。さすが世にも恐ろしい魔法使いたちのお気に入りだ」

「え?」



はは、と皮肉げに笑う俺にラナがきょとんとした顔になる。



「俺が怖くて仕方ないでしょ?こんなところに無理やり閉じ込められて。何もできない無力な人間なのによくその気持ちを隠せるね?すごいよ、秘書官様」



ラナに甘く微笑んで、その愛らしく柔らかい頬に触れる。俺に触れられたラナの頬はそこから熱を帯び始め、ラナの瞳を潤ませた。

ああ、ラナはまた偽りの甘い瞳を浮かべるのか。
全ては俺を絆すために。



「…私はエイダンの言う通り無力な人間です。ですから優秀な魔法使いのアナタに気持ちなんて隠せないんです。エイダンの目の前にいる私に嘘偽りはありません」



ラナの頬に触れる俺の右手にラナが自身の頬を寄せ、頬擦りをする。
嬉しそうに、幸せそうに、だが、どこか恥ずかしそうに瞼を伏せるラナに俺の心臓は大きく跳ねた。

何て愛らしいのか。
例え嘘だとわかっていてもこんなにも心臓を鷲掴みにされるとは。