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ラナをここへ連れ去ってもうすぐ1ヶ月。
あたり一面雪で覆われ、軽装の人間が気軽に逃げられるような場所ではないここで、ラナは案外平気そうにここでの生活をラナなりに楽しんでいるようだった。
先ほどのように雪で遊ぶこともよくやっていることだ。
「…んー。どうしよう」
キッチンにある食料庫の中身を見て、うんうんと唸っているラナの後ろ姿をダイニングチェアに座りながら何となく見つめる。
ラナはどうやら本日の夕飯のメニューを何にするか迷っているようだ。
あの食料庫には食材の新鮮さを保つ魔法をかけているので、様々な食材が入っている。
南国の野菜やくだもの、山の幸や海の幸、肉類も豊富だ。何か足りないものがあるのなら俺が魔法で取りに行くなり、ここに出現させるなりすればいい。
「何、悩んでるの」
ラナの悩みを解決しようとラナの元へ向かう。
するとラナは食料庫から俺へと視線を向けた。
「…エイダンはビーフシチューとクリームシチューどちらが食べたいですか?」
困ったようにそう言ってこちらを見つめるラナ。
その姿はとても愛らしく、まるでラナを自分の妻にしているような気分になった。
「茶色いのと白いのでしょ。別にお前が作るものなら何でも…」
「もう!またそれですか!それが一番困ります!」
俺の言葉を遮って、頬を膨らませるラナがあまりにも愛らしくて自身の腕の中に閉じ込めてしまいたくなる。
何て愛らしい存在なのだろうか。
この存在はもう俺だけのもの。誰の目にも触れることはない。
そう思うと俺は満たされた。



