「…」
今のこの状況をアランに言おうか言わまいか、私は迷った。
せっかくアランとカイが私を心配して難しい魔法を私に施してくれたのだ。それがもう意味をなしていないとは言いづらい。
黙ったまま言いづらそうに視線を伏せていると、
「嫌ね。その表情はもう消したはずなのに」
とアランがどこか面白くなさそうに小声で呟いた。
アランはどうやら私が何を思っているのか、私の様子で察してしまったらしい。
「ごめんなさい、アラン。せっかくアランたちが私の恋心を消してくれたのに…」
それなのにまた懲りもせず、エイダンを好きになってしまって…。
申し訳ない気持ちでいっぱいになり、アランにどんな顔を向ければいいのかわからない。
だが、しかし私は今、アランに化粧をしてもらっている身だ。
アランから顔を背ける訳にもいかず、私はただただ罪悪感でいっぱいの表情を浮かべた。
「…バカね。何て顔をしているの」
そんな私に優しく声をかけ、アランが両手で私の頬を優しく包む。
そしてそのまま私の顔を上に向かせ、嫌でもアランと目が合うようにした。
「…私はね、アナタに笑っていて欲しくてあの魔法をかけたの。決してこんな顔をして欲しくてした訳じゃないわ。もちろんカイもね」
「…はい」
「だからね?ラナ、アナタが笑顔でいられる選択ならどんなことでも歓迎よ。例え、またエイダンを好きになったとしても攻めたりしないわ」
「…アラン」
アランの優しい言葉に胸の奥がじんわりと暖かくなる。
アランは本当に優しい魔法使いだ。



