だからこの恋心は消すことにした。





「エイダン。こんにちは」



私の元に現れたエイダンにいつもと変わらない笑顔を私は浮かべる。
この浮ついている気持ちを一切感じさせないように。



「こんにちは、ラナ。お前は今日も忙しそうだね」



挨拶をした私にエイダンもふわりと笑う。
何かを隠しているようなそんな怪しい笑顔だ。



「俺がそんなお前を元気にしてあげようか?」

「エイダンがですか?」

「うん」



悪戯っ子のように目を細めるエイダンに私は首を傾げた。

エイダンらしくない提案の真意がまるでわからない。
元気にしてくれるとは、どういうことをエイダンはしようとしているのだろうか。

疲れや不安などを魔法で一瞬で消してくれる、とか?
…そんなこと、エイダンが本当にするだろうか。

エイダンの次の行動の見当が全くつかず、身構えていると、エイダンはそんな私を愉快そうに見つめていた。
嫌な予感しかしない。



「手を出して」

「…こう、ですか?」

「そう」



おずおずとエイダンの前に出した私の手にエイダンが自身の指を絡める。
それから自身の方へとグイッと引っ張り、その形の良い唇を私の手の甲へと押し付けた。
チュッ、と音を立てて、エイダンの美しい顔がゆっくりと私の手の甲から離れる。
だが、離れたのはエイダンの顔だけで未だに私とエイダンの手は繋がれ、指は絡まったままだった。