だからこの恋心は消すことにした。





エイダンへの想いに気づいてしまい、1週間ほどが経った。

エイダンの行動は相変わらず奇妙で、最近はよく私に甘い言葉を吐いたり、心臓に悪いスキンシップをしてきたりする。
まるで私の気持ちを試すようなエイダンの行動に心臓が毎回激しく鼓動し、私はいつもドキドキさせられていた。
私がエイダンを好きだったあの頃と今はもう何も変わらないとまで言えるほどだ。

ただ一つだけ違うとすれば、それはエイダンが私の想いを知らないということだった。
エイダンは私が恋心を消してしまったことしか知らない。
私がまたエイダンを好きになってしまったことまでは知らないのだ。

…それでいい、と私は思った。

私の恋心にエイダンが気づけば、私はまたあの時と同じように苦しくなる。
エイダンは人の不幸が大好きだ。負の感情が大好きだ。
私の想いを知れば、またあの頃のように私が苦しむ姿を見る為に、あの手この手で私に迫ってくるだろう。
酷い言葉もきっとかけられるだろう。

私はもうそれに耐えられない。



「秘ー書官様」



離宮から離れへと続く、渡り廊下を重たい足取りで歩いていると、今は会いたくない人物に突然声をかけられた。
私を上機嫌に呼んだ人物、エイダンが渡り廊下の外からふわりと宙を舞い、私の元まで魔法で飛んでくる。

お昼の暖かい日差しを浴びて、キラキラと輝くエイダンはまるで天使のようで、思わず目を奪われた。

…い、いけない!
惚けている場合ではない!エイダンに今度こそ気持ちを悟られてはいけない!気を引き締めなくては!