結局、マティルダとの婚約が決まった。
彼女の努力は報われるどころか、ローリーが思っていた通り全て無駄になった。

それなのに諦めるどころか、めげずに何度も立ちあがろうとする。

最近では魔法を高めるためにガルボルグ公爵に講師を頼んでおり、もう教えることはないと言われているそうだ。
何故彼女がそんなに頑張っているのかが、理解できないのと同時に、沸々と怒りのような感情が湧いてくることに気づいた。
以前は学ぼうともしなかった魔法をマティルダは積極的に取り入れようとしている。

(一体、何をするつもりだ!?俺への当てつけなのか!?)

それにガルボルグ公爵やライボルトがやっていた城での仕事も手伝うようになり、ますます評価を上げていく。


「ローリー殿下、ごきげんよう!今日もいい天気ですね」


いつも明るく、優しく、健気を装うマティルダを躱すことが辛くなっていった頃、学園に入学していた。

色のない日々を過ごしていたローリーの前に、突如として光が差し込んだ。
それが学園に入学してきた男爵令嬢シエナ・レデュラだった。