どこ、どこなの?……暗くて何も見えない!

誰か……助けて。



〝……夕姫〟



え?誰なの?!助けて!



〝……三津……だ〟


え……なんで……三津の声が聞こえるの?!

私と別れたくせに!


〝……ごめん。〟


謝らなくていいよ!


〝夕姫〟


なに。


〝まだ、……根に持っているのか?〟


……



〝まだ、俺のこと……好きなんだな〟


……



〝夕姫、もう一度……俺と付き合ってくれる?〟


……ッ……なんでよ。

他の女んとこ行けば!


〝夕姫しか興味ないから〟


嘘つき。


〝嘘じゃない。本当だ〟


……もう、今度は騙されないよ。

……私は……あの時……凄く、凄く……傷ついたんだから。

心も体も……疲れたよ。

根は持ってるけど……もう、付き合わない。



〝夕姫。話を聞いてくれ〟



何よ。



〝なぜ、俺が人形の姿になっているのか知りたくない?〟



どういうことよ。



「夕姫の為に……人形の姿にしてもらったんだ」


「!なんで、周りは暗いのに……三津だけが見えるの?!」

私は、瞳から涙を零す。


三津は、私の頭を優しく撫でた。


「夕姫に見つけて欲しかったから。最初は、別れた。けど、気づいたんだ。本当に必要なのは……夕姫だって。」

「……信じられないよ」

「信じられないのは当然。俺が、夕姫を悲しませたから。でも、夕姫これだけは言わせて?
もう、他の女とは会わない。
夕姫だけを愛する」

「……」

「本当だ」

「……ごめん。本当に……信じられないや」



「あーぁ、これは失敗に終わるパタン?」


「あー!館の主!私を人間の姿に戻しなさいよ!」

「それは、無理だね」

「どういうことよ」

「最初に言わなかったけ?」

「外に、出すな……」

「そう。君は、約束をやぶったよね?」

「……それは……」

「まぁ、だけど」


館の主は、三津を見た。

「一つだけ、人間に戻す方法があるよ。だけど、失敗に終わったね」

「え!」

私も三津を見た。


「人間に戻す=寄りを戻す。ことだったんだよね?三津くん。あーぁ、本当に残念。
三津が、他の女と遊びほうけてるから、こういう目に会うんだよ?でも、君。夕姫ちゃんは軽い女じゃないことは分かったよね?三津」


館の主は、一瞬怖い顔になった。

だが、直ぐに笑ってる顔に戻ったけど、どこか……怖い。


「二度と女を弄ばないこと。いいね?」

「はい」

「よろしい。2人を元の姿に戻してあげる。次は、ないからね」

そう言って、「2人とも目を閉じて」との合図で私たちは目を閉じた。


すると、光が瞼に当たる。


チュンチュンと、鳥のさえずりが聞こえる。


私は目を覚ました。


そして、隣を見ると三津がこっちを見つめている。


「三津」

「ん?」

「瞳の色両目違うね」

「それを言うなら、夕姫もだぞ」

「え?」

「左は濃い茶で、右目は青色」

「三津もね」

「お互いに綺麗な瞳をしてるよ」


私と三津は、寄り添った。



2人は、人形になっていたなんて覚えていない。

だって、……2人は、館の主の手に寄って付き合っていた頃に戻されたから。


でも、約束を破ったら……2人とも本当の人形にされてしまうから気をつけて……