「青山くん、疲れてるみたいだから、ご飯食べてすぐに休んだら?」

「ああ…シャワーは明日の朝に浴びるよ」

サヤカのことは、家族であっても守秘義務があるので言えないが、

(陽子やリナと園田くんには、あの女に気をつけてもらわないといけないな…。リナと俺が親子だと気づかれなけりゃいいが。轢き逃げしたにも関わらず、全く反省の色が見えないような奴、腹いせに何するか判らないし。懲役15年になるだろうけど、釈放後が心配だ。あの女のように、失うものがない人間というのものは…)

青山にとって、これは頭痛のタネだ。

「陽子」

「ん?」

「もし、ちょっとでも何か危険を感じるようなことがあれば、すぐに言ってくれよ?」

長年夫婦をやっているので、陽子も青山の言わんとしていることは判った。

勿論、まさかそんな因果関係までは知る由もないが、弁護士は時に恨みを買う仕事でもあることは、陽子も知っている。