「申し訳ありませんが、どう逆立ちしても勝ち目がありませんから、お断りします」

事務的に断ったところ、

「はぁ?弁護士が依頼を断る権利あるわけ?」

「あります」

「へぇ。アンタ優秀な弁護士って聞いてたけど、実は能なしなんだね」

「何とでも仰ってください。むしろ、明らかに勝ち目がないのに、着手金目当てで受任することは、とても正義とは言えませんので」

その後も、サヤカは散々イチャモンをつけてきた。

普段は冷静な青山も、まさか園田の車に当て逃げした犯人と轢き逃げ犯が同一人物、犯人は憎きサヤカ、しかも証拠写真を撮ったのが愛娘のリナという、かなりややこしい状況には、流石に混乱していた。

陽子には、何でも話してきたが、これはあくまで仕事なので言うわけにもいかない。