「知り合いではなく、たまたま見かけたことがあって…」

例の、結婚式場でキレていた女だった。

「ヤスダサヤカという名前に聞き覚えは?」

そう問われても、知人ですらないのだから、そこまで知る訳もない。

「向こうは必死で否定していますがね…調べたら、まず酒酔い運転で完全にクロですし、車を確認したところ、やはり轢き逃げ犯と同一人物でした。いやー…これは助かりましたよ!轢き逃げは夜中だったこともあって、目撃者も赤い車ということしか覚えていなかったので」

「そうですか、それはよかったです…」

リナはそう呟くも、精神的にかなり疲れていた。

園田は、テーブルの下でリナの手を握り、

「疲れたよな?でもよくやった!リナは英雄だよ!」

「大袈裟だよ、もう…」

リナは苦笑いだ。