車に戻ると、

「あー緊張した…」

園田が脱力する。

「ふふ、お疲れ様。でも、そんな怯えるようなタイプの親じゃなかったでしょう?」

「うん。リナは、あんな素晴らしい親御さんから愛情たっぷり受けて育ったから、こんな素敵な女性になったのかな」

「昔の私の言動を思うと、果たして素敵といえるかわからないけれど…。でも、両親のことは誇りに思うし、園田くんとすれ違った過去も全部、私にとってはいい修行になったと思ってるよ」

リナは、車窓から空を見上げた。

まんまるお月様が微笑んでくれているようだ。