いい大人になってから、初めての恋を知った二人だが、想いが通じてからは、交際期間も短い内に結婚。

リナが産まれてからは、青山も積極的に育児休暇を取るなどして、夫婦は一人娘を溺愛してきた。

二人とも、いつかはリナを嫁にやる日が来ることは覚悟していたものの、リナに男っ気がないので油断していたし、いくら覚悟していても、いざその時が来てしまえば、どうしたって、切なくもなる。

「あーあ…。昔は何がいいのか判らなかった小津安二郎の映画が観たくて仕方なくなってきたよ」

「じゃあ、今度観に行く?そういえば、リナの好きな名画座でやってるはずよ」

「うーん…やっぱりやめておく!」