とはいえ、そのサヤカは、かなりの女王気質なだけでなく、陽子から渡されたラブレターを、取り巻きの前で読み上げるような、最低な女だったのだが。

サヤカのことを、正義感の強い青山は咎めたが、相手に反省の色はみられなかった。

その日から、青山はクラスでも目立たなかった陽子のことが、何故か気がかりになったのである。

(陽子、男は恋愛対象外なのかな…)

敢えて口にはしなかったものの、青山はずっと、陽子のことをそう思っていた。

実際はというと、まだ13かそこらでは、恋に恋するお年頃だ。

幼い頃から異性にしか興味のない子供も多いが、将来的には異性に恋をして結婚するとしても、幼少期や思春期には、同性に恋するケースだって、さほど珍しくもない。