「そりゃそうだけど…リナ、高校の頃から、同性ばっかりの環境に居たし、男の影なんて気付きもしなかった」

少し不満げな青山に、陽子はクスクス笑いながら、

「それを言ったら、私たちの時だって、うちの両親は寝耳に水だって言ってたわよ?」

陽子は、長いこと青山とは戦友のような付き合いをしてきて、互いに夢を叶えた頃、おもむろに青山が、

「なぁ…陽子。男はどうしても無理か?」

そう切り出した時、陽子は一瞬、何のことかと思った。

青山が、そんな風に尋ねたのは、陽子が中学時代、学校で一番目立つ女子学生、サヤカに、淡い恋心を抱いていたことを、青山は、よく知っていたからである。