リナは、驚いて園田を見つめた。

「家のことは全部、かみさんに任せっきりにするような男にはなりたくなかったから。だから、プロポーズするには、少し時間が必要だったってわけ」

園田は、内ポケットから小箱を取り出すと、

「僕と…死が二人を分かつまで、一緒に居てください」

しなやかな手に滑らされた婚約指環は、月明かりに照らされて輝いていた。

「はい…」

リナは感無量で、それだけしか言えずに居た。

月だけが見守るなか、二人はそっと口づけを交わした…。