「…あ、あの、すみませ…」
………ひぇぇ…ッ!
こ、怖すぎる…、逆行でお顔が見えない…。
さっきまで綺麗だった夕日も、今は心做しか赤暗い。
やっぱり締められるってことでしょうか私…。
すると、目の前の男はいきなりしゃがんだかとおもうと、「あー…、」と難しい表情で目を合わせてきた。
「…大丈夫そ?立てる?」
「あ…っ、えっと…」
び…っくりしたぁ…。
今絶対心臓止まったよ…、軽く1年は寿命縮んだ…。
「だ、大丈夫です…。立て、ます」
やっとのことで絞り出した声は噛み噛みだが、そこは触れないでほしい。
相手は怒っているというよりかは心配しているような様子で、少し拍子抜けした気分ではあった。
でも、よく考えてみたら、ぶつかった時点でどっちも非があるわけだから、怒る理由にはならないか。
あー、よかった、締められなくて。
