「ダイエットの為の運動とかはしてるの?」

「それが・・・」

私はジョギングを一日で止めてしまったことを麻沙子先輩に話した。

麻沙子先輩は少し考え込んだあと、私にこう提案した。

「久保田ちゃん。フィットネスクラブには行ったことある?」

「フィットネスクラブ?聞いたことはありますけど・・・」

「久保田ちゃんみたいにダイエットしたい人や、身体を鍛えたい人達が運動するところなの。筋トレしたり、ヨガやストレッチやボクササイズや・・・自分の好きなクラスを選べたりもするの。」

「へえ・・・そうなんですか。」

ヨガかぁ・・・ちょっとやってみたいかも。

「麻沙子先輩も行ったことがあるんですか?」

「まさか!私じゃなくて、その、彼氏がね。」

「麻沙子先輩、彼氏いるんですね。いいなぁ。」

「あれ?久保田ちゃんにもいなかったっけ?」

「えっと・・・彼は仲の良い友達で・・・。」

もし私がもっとスタイルが良かったら、勇吾君は私を好きになってくれたのかなぁ。

そんな私の内心を知らない麻沙子先輩は、フィットネスクラブのメリットについて滔々と語り始めた。

「施設は綺麗だし、インストラクターさんもすごく親切らしいわ。」

「それは嬉しいかも。」

「お金をかけていると思うと、勿体ないからさぼれないじゃない?」

「たしかに!」

「あ、そうだ。彼氏の通っているフィットネスクラブのチラシ持ってるからあげる!」

「え、いいんですか?!」

麻沙子先輩から手渡されたチラシには、オレンジ色のジャージを着たインストラクター達の爽やかな笑顔と、様々なトレーニングマシンの写真、そして最初の1ヶ月は無料でお試し会員になれる旨がデカデカと書かれていた。

「一か月お試し出来るんだ・・・。」

私は、そのチラシのうたい文句に釣られて、すっかりそのフィットネスクラブに行く気になっていた。