「こいつは、何だ」


旅支度を済ませた頭を指さし、リュートが言う。


「道案内をお願いした、トーマさん」


あからさまに不機嫌な様子に、溜息を堪えて明るく答える。


「よろしく」


そう言って差しのべられた手をリュートが握り返すわけもなく、不機嫌そうにまわれ右をして、歩きだす。