「だって可愛いのは事実だから、しょうがないじゃん?」

 しょ、しょうがない……?!

「本当に可愛いから、智世里さんは」

「……もう、恥ずかしいって言ってるのに」

 でもそんな積極的な郁さんも、悪くないと思ってるのは……郁さんには内緒。

「智世里さん、行こう?」

「……うん」

 差し出してくれたその手を、私はそっと取った。

「智世里さんの手は小さいね」

「そうかな?」

「うん、小さい。赤ちゃんみたい」

「そんな、大げさだよ」

 郁さんは私を褒めてくれるのが嬉しくて、顔が緩みそうになる。

「智世里さん」

「……ん?」

「今日は俺とのデート楽しんでもらえるように、頑張るから俺」

 郁さんのその言葉に、私は「ありがとう……郁さん」と伝えた。

「まずはランチでも食べに行こうか。ハンバーグの美味しいお店があるんだ」

「わ……楽しみ」

 郁さんと初めてのデートが、すごく楽しみになっていた。



「智世里さんは、趣味は?」

「趣味……特にないんですよね」

「そうなの?」

「まあ強いて言うなら……絵を書くこと、かな」
 
 たまに外に出て風景の絵を書いたりすることがあるけど、趣味と言えるかどうかは微妙だ。