プラネタリウムに行って以来、楓くんと話せるようになった。

でも、家族以外で話せるのは楓くんだけ。

しかも2人だけの時しか話せない。

学校では話せなくなって、手話になってしまう。

自分の部屋に楓くんがいるからなのか心がそわそわして落ち着かない。

「あっ、手話の本がある」

ふと楓くんは本棚に視線を向けた。

そこには、いくつもの付箋を貼った手話辞典。

「こ、この前、買ったの」

「小春って勉強熱心なんだな」

「おばさんと、もっと、お話ししたいから」

耳が聞こえないおばさんとある程度のことは、手話で話せるようになったけど、たまに分からない手話がでてきたり、手話でどう表現すればいいか分からなかった時など、辞典で調べては付箋を貼っている。

「母さん物凄く喜ぶよ」

そう言った楓くんは、とても嬉しそうな表情を浮かべていた。