梅雨真っ只中の6月下旬。

毎日、楓くんが手話を教えてくれたおかげで、ある程度のことは手話で会話できるようになった。

以前まで、自分の思いはずっと押し込んでいたけれど、今は思っていることを手話で伝えている。

それに、緘動も少しずつ和らいできている気がする。

なにより、楓くんと唯花ちゃんに手話でお喋りするのが楽しいくらいだ。

そんなある日の休み時間。

唯花ちゃんが私たちの元にやって来た。

「ねぇねぇ、お2人さん! 星座に興味ある?」

いつになくテンションが高い唯花ちゃん。

“星座”というワードに思わず眉がピクリと反応する私と、その横で「星座って星座占いとかのやつ?」と唯花ちゃんに聞く楓くん。

「ちがーう! 占いのほうじゃない!」

楓くんの言葉を唯花ちゃんは大きな声で否定した。

「じゃあ、なんだよ?」

楓くんがそう尋ねると、唯花ちゃんは後ろ手に隠していた“あるもの”を私たちに見せた。