翌日。

昼休みになって、学校の屋上で楓くんと昼食を終えた頃、昨日の話になった。

「あの後、おばさんとは大丈夫だった?」

楓くんの問いにスマホを使って答える。

【うん。大丈夫だったよ。お弁当も作ってくれたしいつもと変わらない様子だったよ】

「それなら良かった」

【あとね、話さないことについて触れてこなくなった!】

「おぉ〜! 良かったな、小春」

【楓くんのおかげだよ。ありがとう】

お礼を伝えると、「別になにもしてないよ」と謙遜した楓くんだけど、私としては十分助かった。

ーー『場面緘黙症のこと知っているんですよね? だったら、どうして理解してあげようとしないんですか? 小春さんの心に少し寄り添ってみてはどうですか?』

その言葉の効果はとても抜群だったと思う。

だって、話せないことについてあんなにガミガミ言っていたお母さんが大人しくなったから。

今回のことといい、クラスメイトから虐められていた時だって、私を助けてくれた楓くん。

ヒーローと言っても過言でもない。